#介護事業所インタビュー

【特集】介護事業所インタビューvol3. キーステーション編 ~だれもが「自分は必要とされている」と実感でき、通いたくなる居場所づくり~

#介護事業所インタビュー

日本全国の介護事業者をピックアップ!今回は、東京都板橋区にて地域密着型通所介護を展開するキーステーション代表の太田浩史(おおたひろし)さんにインタビューを行いました。

太田浩史(おおたひろし)氏
地域密着型通所介護キーステーション代表

2007年株式会社ニチイケアパレス入社。管理者として新規立上げや、東京都江戸川区との災害協定締結に従事。その後、一般社団法人日本福祉環境整備機構を設立、地域密着型通所介護キーステーション代表。日本介護福祉士会・専門部会委員、上板南口銀座商店街振興組合理事、板橋区介護事業者連絡会理事ほか    

 

自発的に通いたくなる仕組みとは

編集部:太田さん、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、キーステーションのこだわりを教えてください。

太田氏:私はこれまで、介護の専門職として働く中で「ご利用者様が、ご家族に説得され、なかば強制的にデイサービスに通わされる」という現場をたくさんみてきました。そうしたご利用者様は、当然のことながら、デイサービスにいらしても元気になることもなく、どうしても無為な時間を過ごしてしまわれます。私は、そうした状況を少しでも打破したいと考え、ご利用者様が自発的に通いたいと感じられるようなデイサービスを構想し、立ち上げました。それがキーステーションです。

編集部:自発的に通いたいと感じられるような仕組みとは?

太田氏:企画というと大袈裟かもしれませんが、ご利用者様が活躍できる場を意識して作っています。人間は、誰かに一方的に助けられるばかりだと、どんどん自尊心を失ってしまうという特徴があるように思います。ですから逆に、ご利用者様が、小さなことでも、誰かの助けになるようなきっかけを多数準備するようにしています。要するに、誰かから「ありがとう」と言われるような活動を多数仕掛けています。

お好み焼きを焼いています!

 

編集部:具体的には、どのようなことですか?

太田氏:たとえば・・・地元の子育て世帯のために、紙おむつの匂い消しを自作してもらって、無償でプレゼントしています。また、地元の子どもたちのために、キラキラしたデザイン性の高い石鹸(宝石石鹸)を自作して、これも無償でプレゼントもしました。

地元のお弁当屋さんが作成の作業に悩んでいたオーダー用紙を、ご利用者様が代わりに作成し、それをお弁当屋さんまでみんなで持っていくようなこともしています。新しく変更された電車の時刻表を、ポケットティッシュに入れて、地元の人々に配るようなこともしました。

コロナの時は、マスクスプレー(マスクの上から吹き付けて、マスク着用時の不快感を減らせるスプレー)を作成し、地元の人々に配っています。私は「誰かの困りごとが、誰かの可能性を引き出す」と考えています。ですから、地域で困っていることをみんなで見つけ、その解決の一助となるようなことを考えて実行していくのがキーステーションの文化になっています。

編集部:なるほど、とても素晴らしいですね。

太田氏:私は介護の現場を「介護を必要とする人が一箇所に集められ、実質的には隔離されてしまう場」にはしたくありません。ですから、とにかく受け身になるのではなく、多少おせっかいでも、こちらから社会に関わっていくという意味で、キーステーション(情報を発信する場所)という名前にしています。

キレイなお花ができました!

 

若きベテランスタッフと、小さな社会課題の解決を実現

編集部:そうなると、どうしても一般の介護よりも、難易度は高くなりますね。

太田氏:うちのスタッフは、介護業界で10年以上の経験を持っているベテランが多いという特徴があります。かつ、新卒で介護業界に入っているスタッフが多く、経験が豊富なのですが、同時に、メインは30代と比較的若いことも特徴です。スタッフのITリテラシーも高く、業務の効率化も進んでいます。そうして効率化によって生み出した時間を、キーステーションらしい「ご利用者様とともに実現する小さな社会課題の解決」のためにあてています。

編集部:なるほど、若いベテランが、キーステーションの特徴ということですね。

太田氏:実際にキーステーションに通われているご利用者様の多くが、キーステーションらしい社会活動を通して、明るく元気になって行きます。そうした成果がはっきりとみられる職場ですし、無駄な業務はITによってかなり効率化されているので、スタッフは、自分が思い描く理想の介護のための時間が取れています。そのせいか、スタッフの離職率は、開業以来ほぼゼロです。介護業界にありがちな、離職による担当者の変更も、まずありません。

介護プロフェッショナル集団です!- 太田浩史

介護プロフェッショナル集団です!

 

だれもが集いやすい居場所づくり

編集部:認知症の方でも、社会貢献の活動ができるのですか?

太田氏:もちろんです。キーステーションでは、現在、約70名のご利用者様に契約いただいています。日々の換算としては、15名程度の方が常にキーステーションにいらっしゃいます。こうしたご利用者様の半数以上が、認知症をお持ちです。そして実際に、認知症をお持ちの方であっても、キーステーションらしい社会活動に参加されています。その前提として、スタッフの認知症ケアに対する豊富な経験があることは言うまでもありません。キーステーションのスタッフは、教科書的な対応はもちろん、様々な例外にも対応することができると自負しています。

編集部:認知症のあるなしによらず、みんなの居場所なのですね。

太田氏:おっしゃる通りです。地域に暮らす子ども、学生、大人、そして高齢者のだれもが「自分は必要とされている」と実感できる居場所を目指しています。

バリアフリーに誰もが集いやすくするため、キーステーションの内装は、明るく、モダンで開放的なデザインを意識しています。

明るく、開放的に感じるモダンなデザイン

 

その上で、キーステーションはコミュニティー・カフェを併設しており、地元の人々がコーヒーを飲みながら気軽に集まれる場となっています。そこでは「誰かの困りごとが、誰かの可能性を引き出す」ことの連鎖が起こっているように思います。

キーステーション併設カフェでは、タニタコーヒーやケーキも提供しています!

 

ご家族からのデイサービスへの期待

編集部:ご利用者様のご家族に対する支援という意味ではどうですか?

太田氏:ご家族がデイサービスに期待することは、介護の負担軽減であることは当然です。その保守本流は、ご利用者様が、デイサービスにいる時だけでなく、ご自宅に戻られてからも、少しでも幸せに、明るく、落ち着いて暮らせることです。キーステーションは、ベテランのスタッフが一丸となって、そうした保守本流の介護をしっかりと行っています。

その上で、やはり個別にはどうしてもご自宅での介護が難しくなる時があります。そうした時のために、キーステーションでは、ご利用者様が一時的にキーステーションに宿泊できるサービスも提供しています。実は・・・宿泊されるご利用者様に付き添うのは、ほとんど、代表の私です。もちろん、スタッフが対応することもありますが、やはり、夜勤となると大変なので、スタッフのことも考えて、なるべく私が対応をするようにしています。

 

編集部:代表自らが夜勤対応ですか!それは、ご家族からすると安心ですね。

太田氏:もちろん大変なのですが、自分が理想とする介護のためなので、苦にはなりません。

皆さんとの集合写真!

 

介護家族(ビジネスケアラー)へのメッセージ

最後に介護に不安を抱えているご家族の方々へ、メッセージをお願いします。

太田氏:日本は、人類史上かつてないような高齢化社会に突入しています。ですから、過去とは異なり、介護の負担は、どんどん大きくなる傾向があります。誰もが、介護に関わる時代なのです。だからこそ、全ての介護家族に注意して頂きたいのは、そのように負担が大きくなり続ける介護を、家族だけでなんとかしようとしないことです。

幸いにも、日本の介護は世界一と言ってよいほど、サービスが充実しています。今後も、ますます充実していくことでしょう。介護は、プロに任せる時代です。弊社に限定することなく、広く様々な介護サービスにアンテナを貼って、相性の良い、その人に合った介護サービスを、是非とも見つけてください。

 

事業所の詳細はこちら↓
地域密着型通所介護 キーステーション

 

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