#フレイル対策

高齢者の健康は食事から。食生活から気を付けるフレイル対策

食事をする高齢者男性 #フレイル対策

提供:アサヒグループ食品株式会社

 この記事を読まれている方の中には、親御さんと食事をした際に「なんだか痩せてきて不安」「食が細くなってきた気がする」と感じたことがある方が多いのではないでしょうか。高齢になると栄養を摂取する役割や楽しみ・生きがい、「健康寿命」の維持に関してなど「食事」が担う役割や重要性が大きくなります。しかし、老化と共に身体機能の低下や口腔環境の影響で栄養バランスが偏ったり食欲が低下するなど課題が出てきます。

この記事から4回に渡り、より良い高齢期のために知っておきたい「高齢者と食事」について解説をしていきます。

高齢者に重要な「食事とフレイル」の関係性

「フレイル」とは、高齢者に見られる、加齢による心身の老化と社会との繋がりが減少した状態を指し、要介護の前段階と位置づけられています。

フレイルの徴候として「体重減少」「筋力低下」「疲労感」「歩行速度の低下」「身体活動量の減少」が見られるようになり、日常生活に支障が出やすくなります。

高齢者がフレイルになる大きな原因として「身体的な衰え」、「精神・心理的な衰え」、「社会的な衰え」の3つが考えられます。

フレイルは、この3大要因が絡み合い、悪循環を繰り返すようになります。

具体的に言うと、加齢や疾患により筋肉量が減り、歩く速度が落ちたり疲れやすくなるなどして、活動量が減ります。外出も減り、人と会う機会も少なくなり気持ちも沈みがちになります。動かないのでエネルギーも消費されず、食欲もなくなり、咀嚼力が低下し、栄養不足になって体重が減ります。そしてまた筋肉量が減り….というループが出来上がります。

この状態に陥ると抜け出すことが難しくなるので、早期に発見し、適切な改善サポートをすることが、予防や回復に繋がるとされています。

栄養バランスが取れた食生活は、高齢者の方のフレイル予防に繋がる、重要な役割を担っているのです。

 

フレイルの要因となる低栄養が及ぼす影響

高齢になると、食は細くなり、食事への関心も薄れていきます。買い物へ出かけたり料理することも億劫になりがちで、同じものを食べ続けたり、食事回数が減ることも、高齢者の食生活の特徴です。

このような食生活の乱れが続くと、栄養が偏り「低栄養」の状態となり、フレイルの進行を招くことになります。

「低栄養」とは、体を動かすために必要なエネルギーをはじめ、筋肉や皮膚、内臓など体を生成するために必要なタンパク質やビタミンなどの栄養素が不足している状態のことです。低栄養の状態としては、以下のような体の変化が起こります。

低栄養の状態

  • 体重減少
  • 骨格筋の筋肉量や筋力の低下
  • 元気がない
  • 風邪など感染症にかかりやすく、治りにくい
  • 傷や褥瘡(じょくそう:床ずれ)が治りにくい
  • 下半身や腹部がむくみやすい

出典:公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の低栄養」

 

フレイルを予防するための食事

フレイル予防のためには「栄養」、「身体活動」、「社会参加」を毎日の生活に取り入れることが重要です。前述した通り、フレイルの3大要素の悪循環を断ち切るために、まずは低栄養にならない食生活を送ることが進行の予防に繋がります。

フレイル予防のための食事のポイントとして、まずは以下を心がけていきましょう。

  • 食事をしっかり3食とること
  • タンパク質を意識してとること(肉・魚・卵・乳製品など)
  • 1日2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べること
  • 色々な食品を食べること(多様な食品を組み合わせて必要な栄養素をまんべんなく摂取)
  • 噛みごたえのある食品を食べること(根菜類など)

出典:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防

また、いつも同じ味や調理だと飽きてしまうため、食欲促進のために和風・洋風・中華など味付けの変化も大切です。調理が難しい場合は、宅食やお惣菜、栄養補助食品、冷凍食品などを活用していくことも検討してみましょう。

 

高齢化に伴う食生活の変化

介護スタッフに見守られ食事をする高齢者男性

近年では、高齢者の一人暮らしや高齢者だけの世帯が増加傾向にあり、それに伴う高齢者の食生活に変化が起きています。

 

身体機能の低下による影響

高齢になると、筋力や体力の低下により身体機能が衰えていきますが、それにより食生活にどんな影響が出るのでしょうか。

身体機能の低下により、長距離を歩くことや重いものを持つことが億劫になったり、買い物へ出かけたり長時間台所に立つ気力が減ってしまいます。それにより、食事を抜いたり手軽なもので済ませることが増え、食事のレパートリーが偏っていき、低栄養をもたらします。

また、年齢に伴う病気や内臓機能の低下により引き起こされる食欲不振も、高齢者の低栄養の要因のひとつとなっています。

 

口腔機能の低下による影響

フレイルには、「オーラルフレイル」という状態があります。オーラルフレイルとは、飲み込んだり、噛んだり、話をする口腔機能が衰える状態のことで、早期老化現象の特徴とされています。具体的には、食事の際にむせたり、噛めなかったり食べこぼしが起きるほか、滑舌の悪化や口の乾きなどが生じます。

噛む力や飲み込む力が低下すると、食事を楽しむことができなくなり、食事への不安も重なり食欲不振が起こります。また、滑舌が悪化することで、他者とのコミュニケーションが減ってしまう方もいらっしゃいます。

日頃から口腔機能運動を取り入れることも、フレイルの予防・改善に欠かせません。

参考:日本歯科医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」

 

「孤食」による影響

高齢者に限らず、楽しい食事は健康維持だけでなく、生きる活力となります。

コロナ禍の影響で、「孤食」が健康に及ぼす影響が注目され始めました。特に、高齢者の孤食があらためて問題視されています。

「孤食」とは、特に孤独を感じる状況で、ひとりで食事をすることです。身体の衰えで外出回数も減る高齢者の場合は、特に家での孤食が多く、食欲不振や同じメニューに偏ることから低栄養の状態に陥りがちです。

同時に、他人との関わりが少なくなったことへの心理的な孤独感から、食事に対する楽しみや食欲が低下してしまいます。

高齢者の孤食による精神的な不安や孤独感、ストレスは、低栄養を経てフレイルの状態に大きく影響していくのです。

 

メタボ対策からフレイル対策へ

中年期では、メタボ対策として内臓脂肪の蓄積を防ぐために栄養の取りすぎに注意し、カロリー制限した食事を心がける必要がありましたが、65歳からは低栄養を防ぐためのフレイル対策に切り替える必要があります。

離れて住む高齢の親御さんが、現在どんな食生活を送っているのか、ご家族の方は今一度知っておきましょう。

 

食生活の実態

離れて暮らす親御さんの食生活の実態を知るためには、冷蔵庫の中身や買い置きしている保存食を見てみるのが一番です。用事ついでに立ち寄ったり、帰省の際などに確認してみましょう。

  • 生鮮食料品の有無(買い物に出かけているかどうかを判別)
  • 何ヶ月も放置されている食材が入っているかどうか
  • 同じものばかりが偏って入っていて、溜まっていないかどうか
  • タンパク質が摂れる食品があるかどうか(肉・魚・卵・乳製品)
  • 調味料の種類や減り方(料理をしているかどうかを判別)

また、遠方に親御さんが住んでいる場合は、電話やメッセージなどで「今日は何食べたの?」と聞いてみたり、食べたものを写真に撮ってお互い送り合うなどもいいでしょう。

親御さんの食生活の実態をまず把握し、買い物に出かけているか、同じものばかりを食べていないか、料理をしているか、食べている食事に偏りがないかを見極め、必要であればフレイル対策としての食生活改善を提案していきましょう。

 

フレイル兆候チェック(栄養・食・口腔編)

フレイルの兆候を判断するために、東京大学高齢社会総合研究機構「やってみようフレイルチェック」から、栄養・食・口腔に関するチェックリストを紹介します。

NO質問事項回答欄
1ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気をつけた食事を心がけていますかはいいいえ
2野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますかはいいいえ
3「さきいか」「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛みきれますかはいいいえ
4お茶や汁物でむせることがありますかいいえはい

出典:公益社団法人 東京都医師会 / 東京大学 高齢社会総合研究機構「やってみようフレイルチェック」

上記の基本チェックリストで、右側に○がついている方は要注意です。

 

まとめ

高齢者がなりやすいフレイルは、「身体的な衰え」「精神・心理的な衰え」「社会的な衰え」の3つの要素が悪循環を繰り返し、日常生活に支障をきたす健康障害が起こる状態で、そのまま放置すれば要介護状態に陥ってしまいます。特に、加齢により食生活が変化すると「低栄養」となり、フレイルを引き起こす要因となるので、食生活の見直しはフレイル対策の重要な鍵を握ります。

フレイルは、兆候を早期発見することで、予防や改善が可能と言われています。厚生労働省によるフレイル診断で、ご自身やご家族のフレイルチェックを定期的に行い、早期発見を逃さないよう心がけていきましょう。

この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
木場 猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、2,000世帯以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』https://amzn.to/3ryjZNg

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