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要介護度レベル早わかり!知っておきたい8段階の介護度区分とその違い

要介護レベル,要支援・要介護度の違い #仕事と介護の両立

介護保険サービスを受けるには、要支援・要介護認定を受けることが必要です。

「要介護度はどのように判定されるの?」「要支援と要介護の違いについて知りたい」といった疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

そこで今回は要介護・要支援の違い、要介護認定の基準や認定の受け方・申請方法などについて解説します。

要介護度とは?

介護保険サービスを利用するには、身体の状態や認知症の有無などから、要支援・要介護認定を受け、どんなサービスを受ける必要があるかを判定してもらう必要があります。

そこで、日常生活の中でどの程度の介護(介助)を必要とするかの度合いを表すのが「要介護度」です。

 

介護度は大きく分けて2種類、さらに8段階に分類

要介護認定の分類は、大きく分けると「要支援」と「要介護」の2種類になります。
ここからさらに細かく分けられ、「要支援1~2」「要介護1~5」「自立(非該当)」の合計8段階に分類されます。

要支援1~2であれば介護予防サービス、要介護1~5であれば介護サービスが利用できます。「自立(非該当)」の場合、介護保険サービスは利用できません。要介護と要支援では、介護保険サービス利用時の申請場所も異なるので注意しましょう。

また、介護保険サービスの月々の上限額として設定されている「支給限度額」の金額が、介護度ごとに異なります。介護度が高いほど、多くの金額が支給されます。

段階支給限度

基準額

(1ヶ月)

利用できる

サービス

サービス利用の

申請場所

軽い

 

 

 

 

 

重い

自立0円非該当非該当
要支援150,320円介護予防サービス地域包括支援

センター

要支援2105,310円
要介護1167,650円介護サービス居宅介護

支援事業者

要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

 

介護度別の認定基準

要介護認定の基準は「その人の介護にはどれくらいの手間がかかるか?」という観点から定められます。
この「介護の手間」を1日当たりにかかる時間に換算した「要介護認定等基準時間」によって、要介護認定の基準が決まります。
「要介護認定等基準時間」とは、介護の分類ごとに行為の能力や障害の有無などを判定し、その介護に要する時間(介護の手間)を推計したものです。

要介護状態区分等と要介護認定等基準時間の内訳

区分1日あたりの推計所要時間(分)
非該当・自立25分未満
要支援125分以上32分未満
要支援2・要介護132分以上50分未満
要介護250分以上70分未満
要介護370分以上90分未満
要介護490分以上110分未満
要介護5110分以上

介護の分類

行為内容
直接生活介助入浴、排泄、食事等の介助
間接生活介助洗濯、掃除等の家事援助等
BPSD関連行為徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助等

※直接生活介助:食事、排泄、移動、清潔保持に分けて推計

関連記事:要介護認定とは?仕組み・申請方法や認定基準・要介護と要支援の違いまでを解説

 

 

要支援1の状態

要支援1は、ほぼ一人で生活できる状態ですが、日常の複雑な動作など、部分的な介護・介助を必要とします。

介護予防サービスの利用や支援を受けることによって、状態維持・改善も見込むことができます。

具体例

・食事・排泄・入浴:基本的な日常生活が自力でできる

・部屋の掃除や身の回りの世話:部分的に見守りや手助けが必要

・立ち上がりや歩行の動作:何らかの支えが必要な時がある

 

要支援2の状態

要支援2は、基本的には1人で生活できる介護レベルですが、要支援1と比較すると、自分でできることが少なくなり、日常における複雑な動作の支援と共に一部介護が必要な状態です。
要支援1と同じく、介護予防サービスの利用や支援を受けることによって、状態維持・改善も見込むことができます。

具体例
・食事・排泄・入浴:ほとんど自力でできる
・部屋の掃除や身の回りの世話:見守りや手助けが必要
・歩行:何らかの支えが必要な時がある

 

要介護1の状態

要介護1は、基本的に一人で生活できる状態で、要支援2と運動能力は大きく変わりません。
しかし、思考力や理解力の低下がみられます。心身状態が不安定になり、問題行動を起こしたり、会話がかみ合わなかったりすることもあります。

具体例
・食事・排泄・入浴:ほとんど自力でできる
・部屋の掃除や身の回りの世話:一部で手助けが必要
・歩行:何らかの支えを必要とする
・認知機能:低下が見られる

 

要介護2の状態

要介護2は、立ち上がりや歩行が自分でできないことが多く、食事や排せつなど日常生活の基本動作において部分的な介助が必要な状態です。
要介護1よりも多くの場合で介助が必要になり、運動機能、思考力、理解力のさらなる低下がみられます。
介護に時間が取られると感じるようになる段階とされています。

具体例
・食事・排泄・入浴・日常生活:部分的に介護が必要
・立ち上がりや歩行:困難な場合が多い
・認知機能:問題行動や理解の低下が見られる

 

要介護3の状態

要介護3は、立ち上がりや歩行が自分では困難で、日常生活全般に全面的な介助が必要な状態です。
また、思考力や理解力の低下、問題行動といった認知症の症状がみられます。
介護の必要度が急激に増えるため、要介護3以上から利用できる施設が増えます。

具体例
・食事・排泄・入浴・日常生活:全面的な介助が必要
・立ち上がりや歩行:自力ではできない
・認知機能:いくつかの問題行動や理解の低下が見られる

 

要介護4の状態

要介護4は、自力で生活することが難しく、全面的な介護が必要な段階です。
要介護3と比較してより思考力や理解力の低下し、問題行動が見られることも多くなります。

具体例
・食事・排泄・入浴・日常生活:全面的な介護が必要
・歩行・行動:自力でできず、車イスの利用が増える
・認知機能:理解力が全般的に低下し、多くの問題行動が見られることがある

 

要介護5の状態

要介護5は、寝たきりの状態であることが多く、日常生活全般ですべて介助が必要な状態です。
運動機能だけではなく、思考力や理解力が要介護4と比較して著しく低下するため、意思の疎通が非常に困難になります。

具体例
・日常生活全般:すべての介助が必要
・行動:寝たきりのことが多い
・認知機能:理解力や判断力が乏しく、意思疎通が困難

 

介護度別利用できる施設

要介護度によって、入居できる介護施設の種類は異なります。
それぞれの段階で利用可能な施設は、下の表のようになります。

区分利用できる施設
要支援1【民間施設】
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅【公的施設】
ケアハウス
要支援2【民間施設】
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅【公的施設】
ケアハウス
要介護1【民間施設】
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム(認知症の場合)【公的施設】
ケアハウス
介護老人保健施設(入所期間原則3か月)
介護医療院(医療的ケアが必要な場合)
要介護2【民間施設】
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム(認知症の場合)

【公的施設】
ケアハウス
介護老人保健施設(入所期間原則3か月)
介護医療院(医療的ケアが必要な場合)

要介護3【民間施設】
介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
グループホーム(認知症の場合)

【公的施設】
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設(入所期間原則3か月)
介護医療院(医療的ケアが必要な場合)

要介護4【民間施設】
介護付き有料老人ホーム

【公的施設】
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設(入所期間原則3か月)
介護医療院(医療的ケアが必要な場合)

要介護5【民間施設】
介護付き有料老人ホーム【公的施設】
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設(入所期間原則3か月)
介護医療院(医療的ケアが必要な場合)

 

介護度別利用サービス

要介護度はなぜこのように細かく段階が設けられているのでしょうか?
それは、それぞれの段階に合わせたサービスの種類と利用頻度が違ってくるためです。
要介護1以上認定を受けると、より多くの介護サービスを受けられるようになり、要介護3以上になると全ての介護サービスの利用が可能になります。

サービス要支援1〜2要介護1〜5
訪問介護

(総合事業訪問型サービス)

訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリテーション
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
通所介護(デイサービス)
(総合事業通所型サービス)
通所リハビリテーション(デイケア)
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護   
短期入所療養介護
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
原則要介護3から利用可能
介護老人保健施設
入居期間原則3ヵ月
介護療養型医療施設
介護医療院
認知症対応型共同生活介護
要支援2から利用可能
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具レンタル
介護度により対象外の福祉用具あり

介護度により対象外の福祉用具あり
特定福祉用具販売
住宅改修費の支給

 

介護度別サービス利用回数の目安

介護サービスをどのように組み合わせるのか、利用頻度はどれくらいなのかは、介護者や支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の状況や症状、環境などによって様々です。
介護度ごとに異なる支給限度額を考慮した要介護度別のサービス頻度の目安は、下の表のようになります。

要介護度サービス利用頻度の目安
要支援1訪問型サービス:週1回
通所型サービス:週1回
要支援2訪問型サービス:週2回
通所型サービス:週2回
要介護1訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週2回
要介護2訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週3回
要介護3訪問介護:週3回
訪問看護:週1回
通所介護、通所リハビリ:週3回
定期巡回・随時対応型訪問介護看護:毎日1回
福祉用具貸与:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品
要介護4訪問介護:週6回
訪問看護:週2回
通所介護、通所リハビリ:週2-3回
定期巡回・随時対応型訪問介護看護:毎日1回
福祉用具レンタル:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品
要介護5訪問介護:週6回
訪問看護:週2回
通所介護、通所リハビリ:週2-3回
夜間対応型訪問介護:毎日2回
短期入所:月7日程度
福祉用具レンタル:車いす、特殊寝台・特殊寝台付属品、床ずれ防止用具

 

介護認定の更新と結果について

要介護認定結果は、介護認定の申請を行ってから約1ヶ月後(地域によっては2ヶ月程度)で通知が届きます。

介護認定には期限がある

認定結果には期限があり、定期的に更新する必要があります。新規認定と更新認定で有効期限が異なり、新規は6ヶ月、更新認定は1年間有効です。
介護認定は自動更新ではないため、有効期限が過ぎると認定の効力がなくなります。更新の際は、満了の60日前(約2ヶ月前)から前日までに申請を行う必要があります。更新のためには申請が必須で、再度訪問調査が行われるため、更新時期については注意しましょう。

介護認定の不服や介護度の変更をしたい時は

要介護認定の結果に納得できない時はどうしたらいいのでしょうか?このような場合は、まず市役所に相談を。市役所で認定結果の理由について説明を受けることができます。それでも納得できない場合は、各都道府県ごとにある「介護保険審査会」に不服の申し立てをすることができます。

また、著しい体調の回復や悪化があった場合には、介護度変更の申請をすることが可能で、認定結果の有効期間前に行うことができます。

 

まとめ

介護保険サービスを受けるために必要な要介護認定は、介護度に応じて要支援・要介護が8段階に区分分けされ、段階が変わると利用できるサービスや給付金額が異なります。少しでも介助が必要な状態になった時には、要支援・要介護認定を受けてみるとよいでしょう。

介護認定調査の時には、実際の介護状況より軽い要介護認定とならないよう、日々どのような介護を行っているのかメモなどを残しておき、調査員に状態を正しく伝えることがポイントです。
要支援・要介護の違いを理解した上で、介護保険の申請や介護サービスの利用を検討してみてください。

 

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この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
木場 猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、2,000世帯以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』https://amzn.to/3ryjZNg

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